中町信 「死者の贈物」

 ■ 焦れったさのない夫婦の掛け合い推理、家庭菜園の謎とは・・・? ■

どこにでもいそうな夫婦の探偵活劇。病院内で起きた事件の謎を解け!

昼のドラマを見ているかのよう・・・一言で言えばこんな感じだろう。
中町信著 『死者の贈物』

おれの独断と偏見によると、楽しみを享受できる読者の傾向はこのような感じだ。




流石、昼のドラマっぽいだけあって、まったりとした展開をするみたいだな・・・
お茶でも飲みながら安心して読んで下さい、ってわけだ。

・・・これはどういう話なんだ、村田?


うむ。 簡単に説明すれば、こうだ。

妻の千絵が捻挫により明京病院に入院していた和南城(わなじょう)夫妻。
二人は、この病院の加奈子院長の夫で副院長 茂人にまつわる、よからぬ話を耳にする。
茂人はこの病院で起きた医療ミスの後、アルコール依存症に陥り、情緒不安定となる 発作に苛まれている、というのだ。

一方で、院長の妹 珠世も殺人事件未遂に遭い同病院に入院していたが、 その快気祝いのパーティーに和南城夫妻、そして茂人も招かれることになる。

ところが、茂人はアルコール依存症と見られる発作から暴れだし、パーティーは中断・・・
そして彼を閉じ込めた旧院長室で、珠世が殺害されているのが発見される!!


犯行動機も、その機会も明快。 事件は、酷く簡単なものに思えた。
ただ一つの不可解な謎を除いて・・・!!


「家庭菜園」に残る悪意、そこから浮かび上がる犯人像とは・・・?!  

なかなか面白そうですね。

「夫婦探偵 和南城 家庭菜園に込められた悪意」・・・という感じですか。
いかにも昼ドラでありそうじゃないか。


その通りだな。まず、この物語の特徴についての言及から始めよう。

全体的に判りやすい表現で書かれているし、主人公が要所要所で推理を展開してくれるので、 推理小説でありがちな、「探偵はどうやら犯人が判っているらしいが、読者は置いてけぼり」 ということがない。
これは夫妻で推理するという構成を取っていることを活かしていて、いい点だと思う。

それに、常に会話調で推理が進められるため、堅苦しい部分がない
普通、探偵はスマートな印象があるが、敢えて太い体格の二人・・・
とした所にも、親しみを感じる一要因があるのかもしれない。

ただ、口当たりはいいけど、味に切れがない、という感じはする
何だか強引に押し切られている・・・と言うべきかな。


まあ、重量級のお二人のようですので、寄り切りは得意なのかも・・・

確かに、一人で探偵が推理するより、二人で話し合って推理する探偵の方が 親しみが湧くかもしれないですね。
探偵が万能である必要がなくなりますもの。


その通り、良い所を突いてくるな星脇。 そして、もう一つポイントを挙げておく。

自分の趣味である「家庭菜園」という題材を、あまり相性の良くなさそうな推理小説に敢えて 持ってくる姿勢が非常に良いと思う。
ここをもっと思い切り語って欲しかったところではある。
どうせなら読者も、作者の思い入れたっぷりの作品を読みたいわけで、 自分の得意な畑(文字通り!)に読者を引き込んで欲しいと思うわけだ。

菜園への思い入れ等、読者が菜園弄りをやりたくなるようなエピソードも入れて 良いんじゃないかと思う。
変にメロドラマ的な要素を入れて損しているように感じるのは、俺だけでないはずだ。

タイトルも、菜園関連でつけたらいいんじゃないかと思う。
『ブロッコリーは知っていた』とかな・・・ それだけで読みたくなりそうではないか!


『○○の△△』ってタイトルは小説に多いが、村田が言ったようなエキセントリックな タイトルの方が記憶に強く残る気はする。

そして確かに、ある分野についての考察が面白いと、小説として面白いと感じたりするものな。
得意分野は熱く語れ・・・ 名言だッ!


そう、推理小説だからといって「推理」そのもので売ってばかりではない。
面白いと思って貰えさえすればそれで勝ちなのだ。
これで「チーム・ゴルボンズ」は、

人類の叡智を、また一つ獲得したッ!!

うむッ!!

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